2012年11月15日木曜日

「津別町森林セラピー基地」視察レポート

11月13日‐14日にかけて、道東の弟子屈町と津別町に視察に行ってきました。この視察の目的は、現在、上川総合振興局の委託事業で「かみかわ自然体感・健康増進推進委託事業」をJTB旭川支店さんが受託し、大雪山エリアの森林環境を活用した森林療法的要素を取り入れた自然体感プログラムを造成し交流人口を増やす取り組みとしてモニターツアーを開催するのですが、その先進地視察の一環で、JTBさんよりお誘いを受け行ってきました。アグリテックからは中田が参加しました。

このほか、今週末から始まるモニターツアーの予定地の、美瑛町、上川町、東川町の各観光協会スタッフやネイチャーガイドさん、観光関係者ら総勢15名で行ってきました。

【1日目】
▼弟子屈町にてエコツーリズム研修
まず、初日は弟子屈町にてエコツーリズムのお勉強です。弟子屈町の川湯ふるさと館にて、弟子屈町役場観光商工課の田口さんと、第3種の旅行業をおこなっている㈱ツーリズムてしかがの白石社長よりお話をうかがいました。

弟子屈町役場の田口さん(左)と、㈱ツーリズムてしかがの白石社長(右)

弟子屈町も、阿寒国立公園を擁し、摩周湖や屈斜路湖をはじめとする自然と温泉があり、大雪山エリアと観光資源要素は似ています。今年、全国エコツーリズム大会が10月に行われたばかりで弟子屈町はその開催町となりました。今でこそエコツーリズムとは言っていますが、エコツーリズムをやろうと思ってここまできたのではないと田口さんはいいます。町はこのままいくと、内需でまかなっていくには難しい。かといって温泉客が増えるとも限らない。これら弟子屈の自然と観光資源を活かした総合産業化を図って自立していける町を目指そうと「てしかがえこまち協議会」を設立し、地域力を活かした町づくりをしていこうとはじまったのがきっかけだそうです。その中で、観光に特化した部分がエコツーリズムといいます。


 ㈱ツーリズムてしかがはアグリテックと同じように、着地型観光をおこなっています。アグリテックと違うのは第三種の旅行免許を持っており、旅行商品が造成できる旅行会社という点ですが、地域の観光企画という点ではコーディネーター組織として一緒です。

今では弟子屈観光の看板メニューともなっている「摩周湖星空ウォッチング」も温泉とタイアップして大変好評だそう。ただ天候に左右されるため、せっかく来たお客さんに見れないというのもしのびなく、「暗闇探検隊」として、星空が見えないときの代替プログラムもつくり、お客さんに満足してもらっている。今、たいへんなのは、地元のカヌーガイドとの連携という。地元の旅行会社といってもガイドさんたちにしてみればライバルが増えたとしか思ってもらえなかったようだが、中間コーディネーターとしての立ち位置がようやく理解されてきて、アウトドアガイドとカヌーもののガイドさんと連携してオール弟子屈の体制ができつつあるという。売上は上がっているものの手数料が利益のほとんどなので、全体の2~3割程度しか利益は出ていないといいます。

アグリテックもコーディネート組織ですが、このような中間コーディネート組織の存在の必要性は結構いわれますが、実際に民間ベースでおこなっていくのは経営的に難しいのでみなさんやりたがらない。うちも経営的に厳しいところがあり、、、どこも一緒ですね。

このあとは盛んな質疑応答がおこなわれて、弟子屈をあとにし、津別町ランプの宿へ。


▼「らんぷの宿」上野支配人から「森林セラピー基地」のお話
2011年4月に「森林セラピー基地」として43番目の認定を受けた津別町。道の地域再生プロジェクトの一環として津別にある森林資源、地域資源を活かして地域活性化を図ろうと、2009年に津別町が町の事業としてスタートしたといいます。現在森林セラピストガイドとして登録しているのは50人。町あげて森林セラピーの町として取り組んでいます。そして今年5月に森林セラピープログラムの運営組織として「NPO法人森のこだま」を立ち上げ、セラピーの受け入れをおこなっているといいますが。。。上野さんの人柄もありますが、きっぱりモノを言う方で気持ちよくお話をうかがいました。

「らんぷの宿・森つべつ」支配人でもあり「NPO森のこだま」代表の上野さん

町の事業は2011年度に終了し、「森林セラピー基地」としての土台はできたが、それをどう活かして町づくりにつなげていくか、誰がやるのかが詰まってないところがあった。そこでその運営組織としてNPOを設立し、NPOがゲストとネイチャーガイド、津別町をつなぐパイプ役になることで、うまく森林セラピーの特徴を活かしたまちづくりをしていこうというのが今の現状。森林セラピー基地として、そしてセラピーガイドを50人ほど登録して、、、そこまでは町の助成金をつぎこんでプロジェクトとしてやってこれたが、事業終了後どうするか、どの自治体でもこのような類の事業にはつきものの課題かもしれないですね。集客のためのマーケッティングや地域の利益還元というところまではぜんぜんこれから。これをどうまわしていくかが今の課題といいます。

分かりやすく説明していただきました。

さて、明日は実際に森林セラピー基地でおこなっている森林セラピーを体験します。ところで、「森林セラピー」は、商標登録って知ってました?商用で「森林セラピー」って使えないんです(><)。


【2日目】
▼森林セラピー体験
翌日は、森林セラピー体験です。温泉宿のまわりの森はノンノの森として整備されている原生林です。クリン草などがたくさん見られます。その散策路を、セラピーガイドのみなさんといっしょに散策します。今回は4人のガイドさんが対応してくれます。1グループ3~4人の班に分かれて1グループずつにガイドさんがついていただきました。わたしの班は女性の千葉さんという方です。

まずはじめに、目で見てリラックス効果を測る、血圧とストレス診断です。ストレスは唾液アミラーゼによる測定値でストレスの度合いが分かります。散策後また測定し、数字の変化を見ます。

まずは血圧と唾液アミラーゼによるストレスチェックです。
散策コースは川沿いのコースです。あいにくの雨でしたがカッパにあたる音や川のせせらぎなど森の音として感じることができました。
巨木の説明中。ガイドの千葉さんは専業主婦だそうで、津別の森を知ってもらいたいという思いでガイド試験を受けたそう。千葉さんのような主婦の方から、お仕事を持っていらっしゃる方、定年を過ぎた方など、いろんな町民の方がガイド資格をもっているといいます。
津別の森にはこのような「倒木更新」がたくさん見られ、森の再生の様子がよく分かります。
約60分ほどの散策後、再度血圧とストレスの測定です。

わたしは血圧は下がりましたが、ストレス値が23から32に上がってしまいました。数字とは裏腹に気分はたいへんリフレッシュされ爽快感がありますので、森の中で気分が覚醒され、正常値の値にもだった?のでしょう。。。。

今回参加した7割方は血圧、ストレスも下がり良好の結果でした。数値はあくまで目安なので、散策後の爽快感やリフレッシュ感が大切といいます。セラピー基地なので、医師の指導のもと本格的な療法として滞在して森の散策や温泉などでの治癒などもおこなっているといいます。

らんぷの宿森つべつは、津別町なのでオホーツク管内ではありますが、津別町のイチバン奥にあり津別峠(冬期閉鎖)を越えれば屈斜路湖までほんの20~30分とか。お隣の弟子屈町が釧路管内で弟子屈町内の摩周湖や川湯などの観光地とは目と鼻の先。某観光雑誌やネット情報など、エリア別に掲載されてしまい、そんな観光地のすぐ近くなのにエリアで分割されてしまう情報誌にはちょっと疑問があるとかないとか。。。

そんな、らんぷの宿は、静かで趣のある場所で、また行ってみたくなるところでした。

▼山の水族館
最後に北見市留辺蘂おんね湯温泉にある山の水族館に寄り帰旭しました。

最大2mにもなる日本最大の淡水魚イトウの群れ。圧巻でした。。。
なぜか愛くるしくて写真におさめたくなった、その容姿のとおりの「ブタバナガメ」。

 さて、今週末からモニターツアーが始まります。今回の視察も参考にして受け入れの準備をします。今回のモニターツアーは、11月17日‐18日の美瑛コースを皮切りに、層雲峡、東川町の3つのコースで実施します。

◎詳しくはこちら↓

モニターツアー募集内容(※募集は終了しています)

【ツアーのお問合せ】
『大雪山麓の森で健康増進♪』モニターツアー事務局
株式会社JTB北海道 旭川支店
TEL:0166-24-2176(平日9:30~17:30)
メール:kitahokkaido@hkd.jtb.jp 担当:瀬川・鈴川